
チュートリアルと言えば、「M-1の優勝コンビ」ということで、漫才のイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?
(そもそも「M-1」に出ていたこと自体を知らない世代もいる、、)
実際、漫才でのし上がってコンビですし、言うまでもなく非常に上手いのですが、単独イベントなどでは、むしろコントの占める割合が多いコンビです。
また、ラジオに関しても、ある意味かなりオリジナリティーのあるスタイルでやっていますので、ご紹介していきます。
チュートリアルのコントの魅力
チュートリアルのコントの特長としては、良くも悪くも非常に「粗い」点が挙げられます。
本人達も語っていますが、チュートリアルは2人揃って練習嫌いで、稽古量が異常に少ないコンビです。
それは単純に「不真面目さの裏返し」と言えなくもないのですが、単独ライブの稽古も2人で合わせるのは10回以下、
台本がライブ当日までに完成していないことはザラだそうです。
これは普通のコンビでは有り得ないと言っていい練習量です。
その甲斐あって(?)、同じ単独でも公演ごとにセリフが全然違うのは当たり前。
アドリブもガンガン飛び出しますし、煮詰め過ぎていないからこそ醸し出されるグダグダ感が非常に良い味を出しています。
もちろん、「そもそもそれはプロとしてどうやねん?」と思われる方もいるでしょうし、好みや評価が分かれるところだとは思います。
ですが、思い切り台本が見えてしまうタイプや、稽古してガチガチに固めるタイプの芸人は個人的にはあまり好きではないんですよね。
セリフや間合いが毎回全く一緒で、いつ見ても同じパフォーマンスという芸人は少なくなく、それはそれで凄いことなのですが、、
個人的にはどちらかと言えば、コード進行と大まかな流れだけ決めておいて、ディティールに関しては即興の余地を残す、セッション的なやり方を採用しているコンビの方が好きです。
チュートリアルのラジオの魅力
コントだけでなく、チュートリアルはラジオもかなり特徴的です。
彼らが現在やっている唯一のラジオ番組・KBS京都「キョートリアル」は、彼らが全国的にブレイクする以前の2002年から放送されていて、なんと今年で16年目(!)に突入。
彼らくらいのキャリアと知名度のあるコンビが、それだけ長い間ローカルのラジオ番組を続けていること自体が大変レアですが、内容自体もかなり変です。
というのも、彼らのラジオは全く芸人らしくないんですね。
芸人のラジオにありがちなハイテンションは一切皆無。ボケやツッコミも申し訳程度。コーナーもずっと使い回し。SEも最小限。曲もかけない。
作りこんだエピドードトークなどもってのほかで、「ただひたすら2人がだべっているだけ」という感じ。
芸能に関する話はもちろんありますが、ただ同時に、話している2人以外誰も分からないような地元トークも毎度のお話。
同郷の友達の名前なんかもバンバン飛び出す始末。
そんな感じなので、「芸人のラジオ」という意味では笑いの要素は極めて薄く、聞く人によっては最低評価も有り得る番組です。
(というかそもそもこの2人は、漫才以外のトークの場面では、未だに間合いがガッチリ合っていない気さえする。)
ただ、個人的にはその「つまらなさ」が貴重と言いますか。
芸人が芸人らしいトークスキルを存分に発揮しているようなラジオも面白いんですが、それだけでは疲れちゃうんですよね。
面白すぎると寝る時に聞けないし。
また、そういったラジオは基本的にはバラエティー番組の延長線なので、パーソナリティーの本音をあまり聴けないという点も個人的にはマイナスポイントです。
そういうラジオはそういうラジオでめちゃくちゃ好きで色々聞いてはいるんですが、「心の内をずっと隠したままの人の話を聞いている」感じがしてしまうのは否めないというか。
その点、「キョートリアル」は、チュートリアルの2人がほぼ素に近い状態で話しています。
他のラジオ番組同様、リスナーからのお悩み相談もありますが、全く茶化すことなく、それっぽい発言でお茶を濁すことなく、超真面目に答えています。
最近のバラエティーの「取り敢えず茶化しとけおけばいい、イジっておけばいい」っていう風潮はいい加減ダサい!
これだけ知名度のある芸人が、ここまで素に近い状態でしゃべっているラジオは多分他にはないですし、
売れてもなお、「近所の気の良い兄ちゃん」の感覚を維持している彼らだからこそ出来るラジオになっていて、「一周回って超貴重な存在」として愛聴しております。
まとめ
チュートリアルに関して、なかなかスポットが当たりにくい2つの要素について書いてきました。
やはりチュートリアルは、コンビとしてみた時には、ボケの才能依存のコンビであることは否定出来ないとは思います。
ただ、この2人だからこそ作り出せる空気というものがあるのも確かで、コントやラジオではその部分を特によく味わうことが出来ます。
漫才以外で2人の掛け合いをお目にかかる機会はもうほとんど無いと言ってもよく、
そういう意味でもなかなか貴重なのでおすすめです。