
2002年にリリースされ、商業的にも大きな成功を収めたWilcoの「Yankee Hotel Foxtrot」。
僕は中学生時代にリアルタイムだったのですが、その後5年くらいずっとピンと来ず。
あの頃の(今も?)ジム・オルークが得意としていた、いわゆる「音響派」なアプローチがややあざとく聴こえて。
(あざといというか、「音響派」っぽくすることが目的化しちゃってた感じと言いますか、、)
それなら「Being There」とか「Summer Teeth」とかの方がまだ分かるというか。
いや、それも半ば無理矢理聴いていたというか、そもそもWilcoというバンド自体にあまり入れ込めない人間でしたね。
ジェフ・トゥイーディの所在なさげな歌も、正直苦手でした。
、、私は大馬鹿者でした。
近年(ここ7~8年)のライブ動画を観てからというものの、彼らの凄まじさを完全に理解しました。
Wilcoは世界で最も芳醇な音楽を披露しているバンドじゃないですかね?(←手のひら返しの極み)
とにかく、1音1音の鳴らし方や、アンサンブルへのこだわりが半端じゃないです。
一歩間違えば保守的なルーツミュージックに安住しかねない音像を一瞬でぶち壊す鬼才・Nels Cline(ネルス・クライン)のクレイジーなギターや、
抜群のグルーヴ感と一打一打のクリアさで、静動ひっくるめたダイナミズムを生み出しまくるGlenn Kotche(グレン・コッチェ)のドラムスなど、
楽器隊は1人残らず力量が鬼で、各楽器を追うだけでも毎回新たな発見がある感じ。
上の動画はベルギーで行われたライブの模様をフルコンプしているものなのですが、音楽的に豊かすぎて絶句致します。
一体どうやったらこんなバンドが出来上がるのでしょうか。。
才能ある人たちが、自分たちの哲学を見失わずに、音楽に真摯に向き合い続けた結果辿り着いた奇跡の領域であることは百も承知なのですが、
ここまでのレベルの音楽が我が国で今後生まれることはあるのか、その上で一定の評価されるようなことがあるのかと考えると、ちょっと複雑な気分。
別にディスる気はないんですが、文化的な教育にもっと力を入れていかないと、少なくともこういう分野においては欧米との差が開く一方だなと。。
Wilcoの来日公演を観に行った友人は、前座のくるりが学生バンドに思えるくらい別次元だったと言っていましたし。。