「池の水ぜんぶ抜く」の問題を指摘する記事に対して思ったこと。

記事の2つの論点

 

Yahooニュースに上がっていた記事ですが、そのうち消されちゃうんで、要点だけまとめておきます。

生態学の専門家・慶応大学の岸由二教授による指摘

  1. 自然界のバランスは繊細で、外来種をただ除去すればいいというものではなく、ケースバイケースで対応を考える必要がある。「池の水~」のような極端なやり方では在来種まで除去してしまうことになる。
  2. 外来種を悪だと決めつけ、バケツにどんどん投げ入れさせるような行為を奨励するようなやり方は教育上良くない。

 

❶に関して

 

この点に関して、けっこう否定的なヤフコメが多くて驚いたんですが。

「じゃあどうすりゃいいのよ」「言いがかりばっかりつけるな」って感じで。

 

いやいや、別にこれ以外にもやり方はあるだろうし、

そのやり方を採用するに至るまでに議論の余地だってあるだろ?と思いますけどね。

 

この企画の1番の問題点は、池の中及びその周辺の状況が個々の事例によって違う点を無視し、なおかつ全貌がはっきりとは分からない段階にも関わらず、

池の水を全部抜く(≒一旦池及びその周辺の生態系を破壊してしまう)という極端な手法のみが採用されていることなのではないでしょうか?

 

場合によっては、「外来種の数を少しずつ減らしていくだけで、池の生態系をある程度キープ出来る」なんていうことだってあるはずだと思うんですが、そういった部分に対しての議論がなされていない上に、

実際番組上でもけっこうな数の在来種まで除去してしまっているケースが散見されます。

 

大抵の場合は外来種に駆逐されている(であろう)池が対象になっているわけですが、

そうであるなら「在来種だけを探して別の環境に移す」っていうのも、手間はかかりますが、方法の1つではあるはずですし、余計な殺生をなるべく避けるのであれば、それがベストなのではないでしょうか?

 

人的・時間的なリソースの制限がある中で、そういったやり方が実現可能かどうかは別にして、

可能性を探る議論自体がないがしろにされている感はあると思いますけどね。

 

❷に関して

 

まず私見として、この件に限らず、「子どもに対する教育上の悪影響があるから〇〇は制限しよう」っていうのは馬鹿げた考えだと思いますね。

一部の大人が思っているほど子どももアホではないので、そういうもっともらしい大義名分を盾に、子どもに対する表現を制限する方が問題だと思います。

 

もし、この番組を観て

「魚をむやみに殺すのおもしれ~!」→「明日から実際に自分もやってみよう!」→「魚だけじゃなく人間も、、」ってな思考になるのであれば、それは元からそういう資質を持っている子どもですよ。

「そうだとしても、わざわざこちらからそのスイッチを入れるような真似をする必要はないでは?」という考えもあると思いますが、そういう子どもはこの番組が無くなったところで、また別のきっかけで同じような道を辿りますよ。

影響源は無限にあるわけですから。

ちょっと話がズレますけど、シリアルキラー的な人間はそういう資質をもって生まれ落ちているので、教育がどうのこうのとか関係ないと思っています。

文字通り異次元な方々なので、四角四面に犯罪心理学なんかを適用したって無意味だと思っています。

 

ただし、「外来種を悪だと決めつける」「バケツに投げ入れさせる」というのは、以下の2点から宜しくないと思います。

  • 原因は人間にあることをきちんと伝えていない
  • 生命に対する最低限のリスペクトが欠けている

 

番組を観てると「外来種が自ら望んで悪さをしている」とでも言いたげな見せ方なんですよね。

いや、そうじゃないだろと。

日本の生態系にとって外来種は悪影響だけれど、元々の環境にいれば悪でもなんでもないわけで、彼ら自身に罪は無い。

罪なのは、そういう状況を作って、無駄な殺生をせざるをえない状況を作った人間の方であると。

 

じゃあなぜそうなったのか、こうやって手当たり次第殺すようなことになる前に出来ることは何なのか、

そういう部分についての‘教育’こそが必要なんじゃないのかと。

 

また、在来種の命がリスペクトされるのであれば、外来種だってそうあるべきで、そこに関して差はないはず。

原因が我々にあるのであればなおさら、「我々人間のせいでこうなってしまった。申し訳ない。」という気持ちをもって駆除にあたっているようには到底見えず、

エンタメ性を過度に重視した内容になっているのは遺憾ですね。

 

まとめ

 

「状況を大きく変えるには、こういう荒療治も時には必要」っていうのも分からなくはないんで、

この番組自体に価値がないとかそういう風には思っていませんが、扱っている題材が題材ですし、1回抜いてしまえば元には戻せないわけですから、

もう少し慎重な議論があった上で進めていくことが必要かなとは思いますね。




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