僕は多分そこそこのラジオフリークで、中学生から現在に至るまで、色んなラジオ番組を聴いてきました。
特に芸人のラジオ番組は今でもかなり熱心に聴いているんですが、その中でも1番面白かったのは
あのブラックマヨネーズがブレイク前にやっていた「ずぼりらじお」です。
「ずぼりらじお」では、ブラマヨの2人の才能が既に爆発していて、
リスナーの間には「なぜこれほどまでに圧倒的に面白いのに、彼らはイマイチ陽の目を見ないのか?」という思いもあったはずです。
僕自身、ブラマヨのピークはM-1やそれ以降ではなく、「ずぼりらじお」であるとさえ思っているくらいです。
ずぼりらじおの魅力
忖度なし
ずぼりらじおをやっていた当時のブラックマヨネーズは、M-1優勝前夜。
関西での賞レースではそこそこ健闘はしていたものの、全国的に知られている存在というわけではなく。
同期で言えばチュートリアル、後輩で言えばフットボールアワーやキングコングといったコンビ達の後塵を拝する形になっていました。
ブラマヨの漫才はM-1以前に関しても美化されがちですが、実際のところは正直けっこうスベっていましたw
キングコングの西野さんがYoutubeで言っていて、その通りだと思ったので。
「ずぼりらじお」に関しても、ついたスポンサーは結局1社のみ。
「わさビーフ」で知られている山芳製菓さんですね。
山芳さんがスポンサーを降りたことで、2005年春に番組は終了してしまいました。But、その冬にM-1優勝。
そんな状態の中、特に吉田さんは生来の屈折ぶりがさらに加速。
この当時は、インターネット(特にSNS)に対する自分たちの発言による影響を過度に気にしなくていい最後の時代だったこともあり、
半ばやけっぱちな感じで、人間、そして男の本音の部分を赤裸々に、忖度なしに喋っていました。
最近でも面白いラジオ番組はたくさんありますが、目配せしなくちゃいけない範囲が思い切り広がってしまったために、
パーソナリティーはどうしても心理的にストッパーがかかった状態になってしまうんですよね。
オフレコと同じようにっていうわけにはさすがにいかないとは思いますが、あけすけにやってくれればくれるほど、本当の意味で面白い番組が出来ると思うので、
1ラジオリスナーとして、近年の社会構造は非常に残念ではありますね。
異常にハイレベルなフリートーク
「いかにフリートークっぽく聴かせるか」っていうのが芸人のラジオのキモであるわけですが、
実際のところはガチガチに台本が組まれているケースも少なくないようです。
三四郎のラジオで、彼らの台本ガチガチぶりを銀シャリの橋本が放送中にバラして、2ちゃんねる界隈がざわついていたのを思い出した。
対して、「ずぼりらじお」は「これってエピソード含め完全にアドリブで喋ってる? 」っていうナチュラルさだったんですよね。
2人の力量を考えれば、全編アドリブでも別に不思議はないですし、
「そういえば思い出したけど」みたいな流れから、予想外の内容になってその後見事に着地っていうのが日常的に繰り返されていました。
バラエティーでは、どうしたって台本の存在からは逃れられませんから、純粋な2人の絡みという点で「ずぼりらじお」は非常に貴重な番組でした。
勢い重視ではなかった
若手のラジオ番組でありがちなのが、若さゆえの勢いをガンガン前に出して、底の浅さをカバーするようなやつ。
もちろんそれはそれで初々しい面もありますが、個人的にはそれだと聴いててしんどい。
その点、ずぼりらじおはあくまでも、2人の発想の面白さや、やり取りの妙に思い切りフォーカスしています。
なので、いつまで経っても新鮮に聴けるんですよね。
というか、2人とも「心底明るいタイプ」ではないため、自ずとそういうテンションにはならないわけなのですが。
お笑い好きのアナタへ。過去のM-1をもう一度。
主な企画
ブラマヨ代理裁判所
当時リアルタイムで起こっていた事件を中心に、無作為に(?)ニュースをチョイス。
くじ引きで検事(賛成派)・弁護士(反対派)に分かれ、より説得力のあった方を勝者とする企画。
この企画、面白おかしく成立させることが出来る芸人は、本当に数えるほどしかいないはずです。
スタッフの方たちがいかに彼らを信頼していたかというのがこれだけで分かります。
なんせ、そもそもの性質上、基本的には弁護士が圧倒的に不利ですし、
そうかと言って、ただ正攻法で相手の矛盾を突いていっても、笑いにはなかなか繋がらんわけです。
2人とも頭の回転がむちゃくちゃ速く、常人には一生思いつかないような屁理屈合戦を繰り広げるのが最高に笑えます。
小杉式ナイスガイ
リスナーが提案する様々な試練に小杉がチャレンジし、小杉自身がMD(死語)に録音したミッション内容を聴き、スタッフ3人がナイスガイかバッドガイかを採点するコーナー。
無茶なお題であることが多く、「バッドガイ」判定がデフォルト。
本当の意味でガチの企画なので、素人の人とのかなり生々しいやり取りも珍しくなかったです。
売れてしまった現在の彼ら、そしてコンプラが段違いに厳しくなった現在ではそもそも成り立たない企画なだけに、非常に貴重です。
まとめ
「面白い人は遅かれ早かれ必ず世に出てくる」っていうお笑い界の定説みたいなものありますけど、あの頃を思えば、ブラマヨは大きくブレイクしないまま埋もれてしまった可能性も無くはなかったわけで、
地力を発揮して世間に認めれらるようになったのは本当に良かったなと思います。
今のブラマヨももちろん面白いですけど、「ずぼりらじお」期にあった刺や牙は既に剥がれ落ちていて、個人的にはちょっと不満です。
(成功して共に家庭を持ち、年齢も重ねたわけで、当たり前と言えば至極当たり前なんですが。)
今の彼らは、コンビとしてもどこを目指しているのかちょっとよく分からないというか、
天下を取れる資質があったのに、「有能なバラエティータレント」という現状に満足してしまっているようで、もったいないなと個人的には感じます。
「ずぼり」の頃のように!っていうのはどのみちムリな相談なんですけど、それならせめて、
2人で作る笑いにもっとフォーカスして欲しいなと思いますね。