僕はフォークダンスが活動していた時期はまだガキで、全然リアルタイムではなく、
なんなら「ボキャブラ」すら見たことがない、2006年に渚さんが亡くなってから知った後追いのファンです。
特に、桶田さんのボケにはかなり衝撃を受け、一気にファンになったのですが、才能があり、勢いも凄まじかった(であろう)このコンビがなぜ解散したのか、
イマイチわからずにずっとモヤモヤしていました。
(多くのファンの方が、少なくとも解散当時は同じ心境だったのでは?)
大げさではなく、「いや~このモヤモヤを墓場まで持っていくのはキツいな~」と思っていたところでした。(←やや大げさ)
そんな折、2016年末より、桶田さんが突如ポッドキャストにて結成から解散までを語る番組を始めました。
「これでようやくスッキリすることが出来るぜ!」と喜び勇んでずっと聴き続けてきましたが、
そろそろ大団円を迎えるタイミングになってきたので、感想をまとめておきます。
思いついたことを羅列していくので、けっこうとっ散らかっていると思いますし、
基本的には「聴いている人向け」の話になってますが、読んで頂ければ嬉しいです!
追記:解散の経緯をだいたいまとめたので、聴いてない方はこちらを先に読んでもらうのもアリかもです。
目次
感想
解散までの話を聴いて
うすうす嫌な予感はしていたんですが、
解散時に「お疲れ」といつも通り別れたのが渚さんとの最後になったっていう話が明かされた時には、マジで悲しくなりました。
解散の経緯どうこうの以前に、本当に悲しすぎる話。
めちゃくちゃ噛み合ってるのに、めちゃくちゃ噛み合っていないなこの2人は。。
渚さんが最後の最後で「考え直してくれ」と言ってきた時の桶田さんのリアクションが淡白過ぎるようにも思えます。
(普通であれば「別にそこで考え直してもよくね?」って話かもしれないし。)
ただ、1番の核心についての共有をその段階になるまで放置(?)していたのは桶田・村田両方に等しく非があるはずですし、
少なくとも桶田さん側には「落ち目になってまでやりたくない」っていう哲学がある以上、その局面を乗り切っていたとしても結末は同じだったのかもしれませんから、なんとも言えない感じではありますが。。
ただ、この2人の性格や関係性から考えれば、ズタボロになるまで無理矢理続けるより、結果論ではありますが、
全盛期の輝きを皆の記憶に残したまま、自分たちの美学を貫いたまま散っていってくれたのはむしろ感謝すべきことなのかもしれません。
解散後のお笑い界を生き残ろうと思えば、バラエティー番組に忖度し、迎合しながら無難なタレントになっていく、、という以外にほぼ道はないといってもいいわけですし、
そんな姿を見るハメになっていたという方が、個人的には嫌ですね。
渚さんについて
ちょこちょこフォークダンスの2ちゃんのスレッドを見てるんですが、要約すると「渚を悪く言うな」的なことを書いている人が少なからずいるんですよね。
ただ、僕からすると、それはかなり意味不明というか、「その時起きたこと・思ったことを偽らずに話しているだけで、
渚を嫌いとか悪く言いたいとかそういうのじゃなくね?」と思ってしまいますね。
あくまでも、目指しているもの・譲れないものに関して2人の価値観に差があった・出てきたというだけの話ではないのかなと思いますけどね。
桶田→2人のクリエイトする笑いで天下を取る。それ以外はいらない。
村田→どういった形であれ、お笑いをやりたい。極めたい。
っていうだけの話で、どちらが正解・不正解なんてないのではないかなと思いますけどね。
近い例えをするなら、桶田が中田英寿で、村田が三浦カズみたいな?(←違うか?w)
どっちの美意識もリスペクトされて然るべきだと僕は思いますね。
番組全体について
・興味深い
お笑いというジャンルの性質上、芸人がそれに関する哲学を大真面目に喋るっていうことがなかなか無いと思うんですが、
このポッドキャストではメインの主題の1つがそこなので、非常に興味深いです。
- トップランナーだった人が何を考えていたのか
- どういうストーリーを経てお笑いを志したのか
- 志した2人が離れることになったのはなぜか
- お笑いに対して求めること・思うこととは
などなど、
よそでは聴けないような話について真剣に議論しているので、興味深いです。
また、漫才師でもバンドでも、解散の理由説明っていうのは大抵の場合数行で終わっちゃうわけですけど、決断をするまでのストーリーがそれだけで説明出来るわけないんですよね。
とはいえ、本当に手短に説明出来てしまう例もあるんでしょうけど、(最近ではトップリードみたいな例とか)
フォークダンスの場合はそこに至るまでに、かなりセンシティブなやり取りが幾重にも重なっているので、そういう物語的な側面1つを切り取っても、楽しめていますね。
・長い!
こうして話をしてくれるだけで、ありがたいのは重々承知なんですが、とにかく長い!
途中から主にラーメンなど、食べ物に関するトークの回も挟むようになったんですが、個人的にはそんなのいらないから早く進めて欲しいです。
お笑い以外のことに関する感性みたいな部分を知れるから良いっていう意見もあるとは思いますが、今回の企画は普通のラジオ番組ではないわけで。。
1回当たりの時間もあまり長くないので、とにかく回数・時間がかかっているのもNO GOOD。
と思っていましたが、現役時代には謎のままだった桶田さんの素の部分を知る意味では有意義だったのかも?
・2人の関係性がとにかく惜しい
ずっと聴いている人ほど強く感じることだと思いますが、桶田さんは自分たちの活動に関して不満に思っていたことを、
ほとんど(というか全く)相方に伝えていません。
(渚さんも同様で、桶田さんに自分の本当の気持ちを伝える局面はほとんど無かったようですが。)
「それ、少しでも渚さんに伝えていれば、局面は随分変わったのではなくて?」というようなことが山ほどあり過ぎて。。
思っていることをあまり口にしないっていうのは彼らに限ったことではないとは思うんですけど、ハッキリ言ってこの2人はその中でもかなり重症な部類というか、
「たとえ性格的にそうであっても、そこは言わんとアカンやろ、、」っていうもどかしさがエグいです。
「言いづらいから言わなかった」というよりは、「信頼があったからこそ言わなかった」っていう感じではありますし、
「他の人には立ち入ることが出来ない2人の特殊な関係性」と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、「なんでやねん」っていう思いは拭えないですね。
理由はどうあれ、根本的な部分での恒常的なコミュニケーション不全を抱えていたところが、このコンビの限界だったのかもしれません。
・最近のお笑いを腐しすぎでは?
この話題はポッドキャスト中期以降はあまり語られていないので、別に書かなくてもいいのですが。。
話の中でちょこちょこ出てくる、最近のお笑いに対する思い。
ただこれに関しては、作家の中村さん含め、「正直、懐古主義が過ぎるのでは?」という気はしますね。
- 業界全体の賞レースへの過剰な傾倒
- フリートークに対する誤った解釈の流布
- お笑い芸人総バラエティータレント化
- 舞台に立つことの価値の希薄化
など、ポッドキャストでも語られているような今のシーンの問題点は、確かにたくさんあると思います。
それ自体は非常に共感出来る部分が多いです。
でも、今のシーンの良いところも絶対あるはずです。
表裏一体とは上手く言ったもので、
- 曖昧だったお笑いの評価軸に「賞レース」という分かりやすい基準が出来た
- 露出の方法が格段に増えたことで、センスと力のある人間が発見されやすくなった
- 「喋り」の能力があれば、食いっぱぐれは起きにくい。活かす場は以前よりも多い
などなど。
裾野が広がれば、玉石混交になってしまうのは、何もお笑いに限った話ではない。
にも関わらず、特に作家の中村さんはやたら悲観的に現状を憂うだけで、「良いところを探そう」っていう気すら感じられないのはどうなのか?と思いますね。
「今のお笑いは~」って言うことに酔っちゃってる節すら感じられます。
個人的には、それはちょっと違うんじゃないかなと思いますね。
もちろん、プロでやっている人たちだからこそ、ずっと現場を見てきた人だからこそ、思うところはあるんだと思いますが!
まとめ(桶田さんの最後の言葉に感動した)
桶田さんが本編の最後で言っていた
「これを聴いているみんなにも、自分の愛しているもの、そこに対する価値観を捨て身で表現して欲しい」という言葉に感動しました。
自分自身、仕事や趣味など、やっていることの多くはそういう考えの元にやっていたのですが、このポッドキャストを聴いて、そういう思いがより強くなりました。
後追いだけれど、このコンビの大ファンになった自分の目に狂いは無かったと思います!
その1点だけでも、フォークダンスDE成子坂というコンビ、そして今回の桶田さんの取り組みにありがとうと言いたいです。
フォークダンスDE成子坂LIVE~自縛~ 第1巻 [VHS]
P.S
リアルタイムであろうアラフォーくらいの年齢の人に聞いても、フォークダンスを知らないっていう人がちょくちょくいるのですが、そういうものなのですかね?
僕は関西人で、聞いた相手も関西人なんですけど、やはり関西での知名度はそこまで高くなかったのかな?
P.S その2
本編終了後の石ダテ コー太郎さんの話を聞いて2人の食い違いっぷりに唖然としました。
今さらどうしようもないことではありますが、桶田さんが渚さんの真意(であろうこと)を知れたのは本当に良かったと思いますし、
出てきて話して頂けたことにイチリスナーとしても感謝したいです。